桃田賢斗選手の代表復帰がおかしい?それ、年間成績見て言ってんの?

こんにちは。

バドミントンプレーヤーと、その指導者・親のためのブログ「シャトルサークル」の管理人(@shuttle_circle)です。

2018年の日本代表メンバーがほぼ決まりました。桃田賢斗選手が日本A代表に復帰することも内定している1

そのことについてこんなツイートが流れてきたのだけど、あなたはどう思うだろうか?

意外とこのようなものの考え方をしている人が多そうなので、今回はそのお話について。

桃田選手は代表に復帰すべきでない?

最初に引用した発言に対する管理人の考えはこうである。

順番は前後するが、上記3つの観点から反論する。

スポーツマンシップに則っていない?

これが一番意味不明で、桃田賢斗選手が代表入りしているのは「スポーツマンシップ」に則っていないのだそう。「正々堂々」していないんだという。しかしわたしはこう思うわけだ。

前後の発言を見ていると「全日本総合で結果を残していない桃田賢斗選手が代表入りするのはおかしい、えこひいきだ、スポーツマンシップに則っていない」とでも言いたいのだろう2

では、奥原希望選手のことはどう説明するのか?

論理が破綻しているのは明白である。

全日本総合の結果だけで日本代表を決めるわけではない。桃田賢斗選手は年間を通じた戦いで、それこそ「正々堂々」と代表入りの権利を勝ち取ったのである。

全日本総合の結果が悪かった?

そもそも勘違いをしていそうなのだけど、全日本総合は1つの指標にすぎない。2017年11月6日付の日本代表選考基準を見てみよう。

1.日本代表選手(ナショナルチーム)A代表男女各10名程度
1)チーム基本構成
シングルス男女各4名ダブルス男女各3組
但し、混合ダブルスと、ダブルスは兼ねる場合がある。
2)平成29年度全日本総合選手権大会
シングルス 男女各1位・2位
ダブルス 男女各1位
3)平成29年度日本ランキング(全日本総合選手権大会後発表)
シングルス 男女各1位
ダブルス 男女各1位
4)選手強化本部推薦選手・年齢制限なし。

引用元:日本代表 選考基準

全日本総合で代表入りの権利を獲得せずとも、強化部の推薦があれば代表入りすることができるということである。そこで強化部が誰を推薦するかが重要となってくる。

2017年に国際大会を回った結果、桃田選手の世界ランキングは47位となっている(2017年11月30日付)。これを他の日本代表選手と比較してみよう。

  • 21位:坂井一将(A代表)
  • 27位:常山幹太(B代表)
  • 28位:西本拳太(A代表)
  • 47位:桃田賢斗
  • 55位:五十嵐優(A代表)
  • 69位:上田拓馬(A代表)
  • 70位:渡邉航貴(B代表)
  • 95位:武下利一

今回全日本総合で優勝した武下利一選手よりも上であり、A代表選手2名よりも上のランクを保持している。

そして桃田選手の復帰後の国際大会成績は以下の通り。

  • カナダGP:準優勝
  • アメリカIS:優勝
  • ベルギーIC:優勝
  • チェコIC:優勝
  • オランダGP:優勝
  • マカオGPG:優勝

※出典:世界バドミントン連盟

40戦して39勝1敗という圧倒的な成績を残しているのである。ところでバドミントンの国際大会にはグレードというものがあって、以下のようなピラミッド構造になっている。

  • スーパーシリーズプレミア(SSP)
  • スーパーシリーズ(SS)
  • グランプリゴールド(GPG)←優勝
  • グランプリ(GP)←優勝1回、準優勝1回
  • インターナショナルチャレンジ(IC)←優勝2回
  • インターナショナルシリーズ(IS)←優勝
  • フューチャーシリーズ(FS)

桃田選手は、GPG以下でほぼ敵なし状態であることを証明してみせたので、さらに上位大会であるSSを中心に回ることになるのは当然といえる。SSを中心に回るためにはA代表入りしていなければならない3

以上から、朴ヘッドコーチが認める通り、桃田選手がさらに上位大会であるSS(スーパーシリーズ)に出る実力があることは明らかである4

また、国内大会に目を向けると、復帰後の成績は以下の通り。

  • ランキングサーキット:優勝
  • 全日本社会人:優勝
  • 全日本総合:ベスト8

RCや社会人では、A代表の上田拓馬選手や坂井一将選手に勝っているわけで、A代表クラスの実力があることもやはり明らか(2017年、武下利一選手との対戦成績は2勝1敗)。世界ランキングも右肩上がりである。そして(あんまりアテにならない指標だけど)日本ランキングも現在3位。

選出されるには十分の実績をつんだ。代表入りするには十分の資格をもっている。

総合8強で敗退したとき「A代表かB代表か微妙なラインだ…」とは思ったけれど、代表入りは確実と言える実績だった。結果的には、増員されたA代表に入ったのであった。代表選びは「全日本総合一発勝負」ではない。年間を通じた総合評価なのである。

A代表増員について

今年からA代表が増員されることとなった。これを「桃田ルール」と見ている人もあるが、その見方は不十分である。

先述の通り、現行制度においてSSを回るためにはA代表入りしていなければならなかった。しかしGPG以下の下位大会を中心に回っているB代表の選手が、A代表の選手に匹敵(あるいはそれを上回る)成績を残しているという、歪な構造になっているのである。

たとえば2017年B代表の大堀彩選手の世界ランキングは14位である。これはA代表の佐藤冴香選手(15位)や、三谷美菜津選手(29位)よりも上の数字である。

同じくB代表でありながら、世界のトップクラスに名を連ねている選手もいる(例:松本/永原ペア(12位)、金子/井上ペア(10位))。世界のトップレベルで戦える選手がそれだけふえたということであり、枠を広げるのは当然のことである。

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以上、桃田賢斗選手が代表復帰するのは当然だ…というお話でした。

バドミントン界の動向に詳しくない人からすれば「彼はどうして復帰できたの?」って疑問を持つかもしれない。しかし年間の国際大会・国内大会の成績を見れば、十分に世界の上位大会に挑むA代表に名を連ねる権利を「正々堂々」と勝ち取ったということがおわかりいただけただろう。

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  1. ミックスダブルスの選手のみ、後日開催される選考会を経てからの確定となるようだけど、それ以外のメンバーはすでに「内定」している。
  2. そもそもスポーツマンシップってなんなのか、発言者の理解が浅いようにも思える。発言者が引き合いに出していた大堀彩選手は、三谷選手との対戦に勝利した際に審判とも握手せず、対戦相手とも握手せず、トナミ運輸のコーチ陣のもとにかけよっていた。三谷選手と握手をしたのは、三谷選手が荷物をまとめ始めたときのことだった。そこにはスポーツマンシップ、アマチュアリズム精神が見られない。発言者氏はもう少しスポーツの歴史を学んだ方がいい。
  3. 日本代表選考基準の中には「Grade 2-Level 4(旧スーパーシリーズ)以上の国際大会は日本代表選手(ナショナルチーム)A代表のみエントリーとする。但し、選手強化本部が認めた場合、日本代表選手(ナショナルチーム)B代表の選手も出場可とする。」という一節がある。
  4. http://www.badspi.jp/201712042013/

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ABOUTこの記事をかいた人

1992年生まれで、大阪府出身・在住。バドミントンのプレー歴は13年。指導歴は4年。(公財)日本体育協会の公認上級指導員(バドミントン3級)です。小学生から大人まで、男女問わず初心者から中級者を対象としたバドミントンの指導を仕事の1つとしています。(→さらに詳しく